声に出して読むための原稿
ナレーション原稿を書くとき(PCで打つとき)、私たちは文字を目で追って声を出さずに読んでいる状態です。その段階では気にならなくても、収録するときに問題になりやすい点についてお話したいと思います。
例1 ムテスウリョウ?
たとえば【無手数料】のように、目で見ると意味がよくわかるワードでも、字を見ずに「ム・テ・ス・ウ・リョ・ウ」と声(音)だけで聞くと、わかり難くなってしまう言葉があります。このような言葉はわかりやすい表現に言い換えることをお勧めします。
無手数料→手数料なし
毎案件→案件ごと
全教科→全ての教科
好条件→よい条件
もちろん前後の文章の流れで理解できる場合もありますが、言い換えたほうが伝わりやすくなるのではないでしょうか。二文字程度の熟語でも同様です。それこそ【難読】は「読み方が難しい」と変換したいですね。
例2 センチ?センチメートル?
これも文章を目で追って読むだけなら何も問題ないのですが、「声に出して読む」という作業をするためには【1cm】は「1センチ」なのか「1センチメートル」なのかを決めないと収録できないのです。このように「どっちでもいい」は通用しないという例を挙げていきます。
①複数の読み方がある漢字
他 (ほか/た)
等 (など/とう)
約(やく/およそ)
後 (あと/のち/ご)
間 (あいだ/かん)
生命(せいめい/いのち)
身体(しんたい/からだ)
今日(きょう/こんにち)
明日 (あした/あす)
昨日 (きのう/さくじつ)
一昨日(おととい/ いっさくじつ)
余談ですが、関西では普通に使う「一昨日=おとつい」という読み方は標準語ではないのですね。
このコラムを書くにあたり初めて知りました。
②数字の読み方
0 (れい/ぜろ)
1(いち/ひと)
10(じゅう/いちぜろ/いちれい)
1000 (せん/いっせん)
フリーダイヤル0120・・・(れーいちにーれー/ぜろいちにーぜろ)
17日(じゅーしちにち/じゅーななにち)
③英語の読み方
A (えー/えい)
D(でぃー/でー)
H(えいち/えっち)
Z(ぜっと/じー)
kg(きろ/ きろぐらむ)
cm(せんち / せんちめーとる)
mm(みり / みりめーとる)
例3 帷子ノ辻?
私が思う、地元の難読地名の代表格を挙げてみました。(答えはこのコラムの最後に)
ここまで難読でなくとも、クライアントさまがナレーション収録に立ち会われない場合、いざ収録を始めると「これ、どう読んだらいいんだろう?」となってしまうことがよくあります。地名・人名・社名などの固有名詞や専門用語には、必ず「読み」「アクセント位置」をご指示ください。たとえばアルファベットと数字が並んだ機種名のような言葉や、長い言葉などは「読むときに切る位置」もご指示ください。
例:「S-3A」は「エス/スリーエー」?「エスサンエー」?
おわりに
声に出して読むための原稿は、目で見るだけの原稿とは作り方や準備が異なるということがお分かりいただけましたでしょうか。ナレーション原稿が出来上がりましたら、収録はぜひシードアシストで!
ご依頼をお待ちしております。
※さきほどの難読地名の答えは「かたびらのつじ」。京都の京福電鉄の駅名です。