音感のはなし
漫画やドラマで、よく「絶対音感」という言葉を耳にしませんか?
「常人にはわからないこの音も、絶対音感があるから聞き分けられるぜ…!」みたいな
かっこいい特殊能力のような扱いになっていたりします。
では、実際のところ絶対音感ってどういうものなのでしょうか。
そもそも音感とは?
実は音感には2つの種類があり、
「絶対音感」だけでなく、「相対音感」と呼ばれるものがあります。
絶対音感とは
絶対音感とは、ある音を単独で聴いたとき、
その音の高さを何の基準も無しに判断できる音感のことを指します。
音が高い、低い、程度ならば誰でも聴きわけることができますが、
絶対音感と呼べるほどの音感を持っている人は
楽曲を聴くとすぐにそのメロディをドレミの音階名で歌えたりします。
自分の中に「絶対的な音の高さの基準」を持っている、ということです。
一般的には幼少期までの訓練で身につくとされていて、
小さい頃から楽器を演奏していたり、音楽に親しんでいる人の場合が多いです。
絶対音感の中にも精度の違いがあり、
1hzの周波数レベルで聴き分けられる人もいれば、
ドレミで表される音楽であれば聴き分けられる、という人まで様々です。
また、生楽器の音ならば判断できるけれども電子音だと難しいという人もいます。
こちらのサイトで一般的な絶対音感テストができますので、ご興味ある方はぜひ。
絶対音感は視覚で例えると、色を見分けるのと同じような感覚です。
リンゴを見れば、「赤色だ」と思いますよね。
それと同じく、たとえば救急車のサイレンの音を聞くと「♪ソーシー」と自然にドレミで聞こえてきます。
(救急車のサイレンは実際聴くとドップラー効果の影響ですぐに高さが変わってしまうのですが…)
リンゴの赤色を見ながら「これは青色です」と言うのが気持ち悪いように、
ドレミの音を聴いて「これはソラシです」と言われると気持ち悪く感じるのが絶対音感です。
相対音感とは
自分の中に絶対的な基準を持っている絶対音感に対して、
「基準となる音を聴いて相対的な高さを判断することができる」音感を
相対音感と呼びます。
もちろん、A音よりB音の方が高い、といった判断は誰にでもできますが、
相対音感というのは「A音=ド であれば B音=ミ」という風に、正確な音程を把握することができます。
後天的な学習で身につけることも可能のようです。
相対音感をテストしてみたい方は、こちらからどうぞ。
相対音感を持っている人は、固定となる基準音がない分、
以前のコラムで紹介したような楽曲の移調をとても簡単に行うことができます。
まとめ
相対音感と絶対音感はどちらが優れているというものでもなく、
そもそものメリットが違います。
絶対音感は基準音なしに音階がわかりますが、楽譜に書かれた異名同音の判別などには不利になります。
(異名同音=ミ#とファのように、記譜上は違うが音としては同じ音を指すもの)
相対音感は基準音がなければ判断が難しいですが、ジャズなどの即興演奏においては有利です。
どちらの音感も、持っていれば少し楽しく音を聴けるかもしれません。