インタラクティブ・サウンドの可能性
「インタラクティブ」とは
「インタラクティブ」という言葉をご存知でしょうか。
検索してみると、このように書かれています。
「対話」または「双方向」といった意味で、
ユーザーがパソコンの画面を見ながら、
対話をするような形式で操作する形態を指す。
具体的には、コンピューターからの画像や音声によるメッセージに対して、
ユーザーがマウスやキーボードを入力して操作を進めていく。引用:コトバンク
簡単に言うと、
人間が行うなんらかの操作にコンピュータがリアルタイムで反応を返す、ということです。
例えば、「キーボードで文章を入力する」という行為だと、
人間:キーボードを叩く
コンピュータ:文章を入力する
という関係が「インタラクティブ」にあたります。
その他、「マウスを動かしてクリックする」などもインタラクティブの1つです。
言葉は難しいですが、現代ではとっても馴染みがありますね。
「インタラクティブ・サウンド」とは
では、「インタラクティブ・サウンド」とはなんでしょう?
こちらの映像をご覧ください。
これは2017年に発売されたNintendo Switchソフト
「マリオカート8 デラックス」というレースゲームのプレイ動画です。
プレイヤーの順位が1位になると「イケイケトラック」というそれまでとは違う音楽が流れ出し、
2位以下との差が大きくなってくるとそれに合わせてイケイケトラックも大きくなる、
という仕様です。
そして、順位が1位ではなくなるとぴたっとイケイケトラックが止まり、
通常音楽に切り替わります。
つまり、
人間:コントローラー(プレイヤー)を操作する
コンピュータ:プレイヤー順位にあわせて音楽を切り替える
という、人間とコンピュータのインタラクティブなやりとりです。
これを「インタラクティブ・サウンド」と呼びます。
この映像、特に聴いていただきたいのは、音楽がとても自然に切り替わっているところ。
もしかすると、1度聴いただけではどこからイケイケトラックが鳴り始めているのか
わからないかもしれません。
シーンの切り替わりで音が変わるのはインタラクティブ・サウンドの基本ですが、
このようにシームレスな表現には驚かされます。
音のクオリティも去ることながらサウンドプログラムの進化にも目を見張るばかりです。
インタラクティブ・サウンドによる効果とは?
同じくNintendo Switchソフト、
「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」の映像です。
この2つはどちらも同じダンジョンですが、音楽が違います。
このダンジョンのBGMは、
数パターンの細かいフレーズが組み合わされて生成されています。
ランダムな順番、音量、パンニング等がなされているため、
同じ場所を再び訪れたとしても、音楽の流れは毎回異なる展開をたどるそうです。
PCに対して何かアクションを起こしている感覚は薄いですが、
ゲームの状況によって音が変わるという、これもインタラクティブ。
現実世界で考えても、
全く同じ場所で全く同じ音を鳴らしたとして、全く同じ聴こえ方にはなりません。
そういった点で、ゲームの場合では、現実では起こり得ない現象に対して一体感、没入感が得られます。
非リアルに対してリアリティを感じるという、なんだか哲学的なお話です。
まとめ
このように、インタラクティブ・サウンドというのは
VRなどとは少し違った視点でコンテンツを面白くするのに欠かせない存在になっています。
今回ご紹介したゲームサウンドという観点では、
一方的に視聴するのではなく、「遊ぶ」という行為から生まれる能動性が
新しい音の可能性を生み出していて、とても興味深いです。
制作をする側の人間として、常に新しい表現方法にアンテナを張りたいところです。